
皆さん、こんにちは。じゅんたんです。
日本神話シリーズ第3弾になります。
今回は荒ぶる最強の神様「須佐之男命(すさのおのみこと)」についてご紹介していきたいと思います。
これまでの日本神話シリーズの記事も読まれるとより理解しやすいのでオススメです。
目次
◆荒ぶる暴風の神様「須佐男之命(素戔嗚尊)」

出典元:http://xn--dvd-ib5hp39g.jp/postcard/god-2/
須佐之男命(すさのおのみこと)は日本神話に主神として登場する神様です。
海原(地球)を統治する神様であり多くの神々を産んだ偉大な神様でもあります。
全国各地の神社の御祭神として祀られていることが多く、誰もが耳にしたことがありますよね!
また、「かっこいい」「強そう」「怖そう」というイメージを持っている方が多いのではないでしょうか?

じゅんたん
剣を持って戦っているイメージが強いね!
しかし実はけっこう苦労人なんですよね。
理由は後ほど説明しますが、
やんちゃな不良息子が改心して立派な大人になるのを見守る親
のような目線で見ていただけると楽しいかと思います。(笑)
では早速スサノオの成長物語を見ていきましょう!
須佐之男命(スサノオ)の親や兄弟は?妻や子供はいた?
日本神話シリーズ定番の家系図ですね。(笑)
スサノオには親兄弟、子供はいたのか?
気になるところですね。
結論から言うと、
親も兄弟も妻も子供もいます。
スサノオの親

スサノオの親は日本列島を生んだイザナギとイザナミです。
イザナギとイザナミは日本神話のはじめに登場する神様で、多くの神々を生み出しました。
イザナミが死んだ後、イザナギが生んだ最後の神様として知られているのが、
- 天照大御神(アマテラス)
- 月読命(ツクヨミ)
- 須佐之男命(スサノオ)
この3人の神様ですね。
つまり、アマテラスとツクヨミは兄弟にあたります。

じゅんたん
日本でも超有名な神様たちだね!
スサノオの兄弟
アマテラスとツクヨミです。
この3兄弟は「三貴子」と呼ばれ、アマテラスは父イザナギの左目から、ツクヨミは右目、スサノオは鼻から生まれることとなります。
スサノオの妻

次にスサノオの妻ですが、妻は二人います。
- 櫛名田比売(クシナダヒメ)
- 神大市比売(カムオオイチヒメ)
クシナダヒメについては後ほど詳しくご説明します。
カムオオイチヒメとの間に生まれた子が穀物の神さま宇迦之御魂神(ウカノミタマノカミ)です。
スサノオの子供
スサノオの剣から生まれたのが「宗像三女神(むなかたさんじょしん)」と呼ばれる3柱の女神たちです。
アマテラスとの誓約の際、生まれた神さまですね。

- 多岐理姫命(タキリビメ)
- 市杵島姫命(イチキシマヒメ)
- 多紀都姫命(タキツヒメ)
三女神ははとても美しく、中でもイチキシマヒメは絶世の美女といわれており、芸術・芸能に秀でていました。

妻のクシナダヒメとの間に産まれたのが八島士奴美神(ヤシマジヌミノカミ)で、
子孫には国づくりをした「大国主命(オオクニヌシノミコト)」がいます。

じゅんたん
何がなんだかわからなくなってきたぞ
ここでひとまずおさらいしてみましょう。
イザナギ
クシナダヒメ
カムオオイチヒメ
宗像三女神
ヤシマジヌミノカミ
ウカノミタマノカミ
オオトシノカミ
スセリビメ
スサノオのご利益は?

それでは荒ぶる神「スサノオ」のご利益を見ていきましょう。
- 縁結び
- 厄除け
- 五穀豊穣
- 商売繁盛
- 学問上達
- 子孫繁栄
- 病気平癒
- 病難除去
- 火難除け
- 水難除け
うん、多いですね。
僕の個人的な意見ですが、スサノオのご利益が多いのはそれだけ多くの神さまと出会い神話を作り出したからだと思います。
例えば、五穀豊穣とか一見関係がないように見えますが、これはオオゲツヒメとのエピソードによるものだと思われます。
エピソードが多い分、スサノオの神格もさまざまな形で伝えられています。
- 暴風の神
- 海神
- 嵐神
- 豊穣神
- 防災除疫の神
- 歌人の神
- 冥府の神
などなど。
神社によって御神徳が変わるのもこれだけ多いからなんですね。
◆【エピソード①】中つ国からの追放!そして高天原へ!
スサノオが生まれた後、父イザナギは3人の兄弟にそれぞれの領域を治めるように命じます。
アマテラスには高天原を、ツクヨミには夜の国を、そしてスサノオには海原を統治させようとしたのです。
しかしスサノオはこれを拒否。黄泉の国(死者の国)へ行って母イザナミに会いたいと言い始めます。

じゅんたん
母ちゃんの顔も知らないもんね…
言うことを聞かないスサノオに父イザナギは激怒。中つ国からスサノオを追放してしまいます。
スサノオは黄泉の国へ行く前に姉のアマテラスへ挨拶をしていこうと思い高天原へ立ち寄ります。

スサノオが来ると地震のように地鳴りがし高天原は大きく揺れます。
アマテラスは高天原へ突然やってきたスサノオに驚き、高天原を奪いに来たのではないかと疑心暗鬼になりました。
アマテラス:「あなた、何しにやってきたのよ!?」
スサノオ:「母ちゃんに会いに黄泉の国へ行こうと思って。その前に姉ちゃんに挨拶しに来た。」
アマテラス:「黄泉の国へ!?そんなの信じられるわけないでしょ!」
スサノオ:「信じてもらえないなら、うけひで証明してみせるよ!」
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
二人は天の安川を挟んで儀式(うけひ=占い)を行います。
まずアマテラスがスサノオの剣を噛み砕き、霧を吹き出します。この時生まれたのが三柱の女神「宗像三女神」です。
すると今度はスサノオがアマテラスの身につけていた勾玉を順番に噛み砕き、霧を吹き出します。
この時生まれたのが五柱の男神たちです。
- アマテラスの勾玉 → 五柱の男神
- スサノオの剣 → 三柱の女神
そしてスサノオが呟きます。
スサノオ:「俺の剣から生まれたのは皆女神だ。心の優しい女神を生んだということは高天原を攻める意思はないということさ。」
スサノオ:「これで俺の潔白は証明できたわけだ!だって最初からルールも決めてなかったしな!」

じゅんたん
なんか騙された気分だ
うけひを行う時はあらかじめルールを決めて行うのですが、この時ルールを決めていませんでした。
これにはアマテラスも認めざるを得ませんでした。
しかしこれが後の「ある事件」へと繋がることとなるのです。
◆【エピソード②】天の岩戸神話を引き起こした張本人!?高天原から追放へ!
うけひでの勝ちに乗じたスサノオは、高天原で横暴なふるまいを行うようになります。
スサノオの度重なるイタズラに高天原に住む神々は被害を受けます。
スサノオの乱暴ぶりに我慢の限界が来たアマテラスは天岩屋へ隠れてしまいます。

太陽神であるアマテラスがいなくなった高天原は、たちまち暗闇に包まれてしまい次々と厄災を招きます。
大混乱に陥った高天原。
神々が集まりアマテラスを天岩屋から引っ張り出す策を練ります。
これが日本神話で有名な「天の岩戸」です。
天岩戸神話については下記記事で詳しく説明しているのでご参考ください。
天岩屋から出てきたアマテラスのおかげで地上に光が戻るのですが、騒動の原因を作ったスサノオは高天原から人間界へ追放されてしまうのです。

じゅんたん
スサノオさん追放されてばっかやな
◆【エピソード③】出雲の地へ降臨!妻との出会い!改心するスサノオ
高天原を追放され全てを失ったスサノオ。
スサノオは出雲の国(現在の島根県)へ降り立ちます。
食べ物に飢え、雨に濡れ留まる場所もなく苦労したと伝えられています。
人生の転落。
なんかもうドキュメンタリー番組を見ているようですね。
空腹で困っていたスサノオに救いの手を差し伸べてくれたのが大気都比売(オオゲツヒメ)という神さまでした。
食物をつかさどる神様で五穀の起源となった神様です。
オオゲツヒメは次々と食べ物を振る舞いますが、その食べ物は鼻や口、お尻から出てきたものでした。
これがスサノオの逆鱗に触れオオゲツヒメを殺してしまうのです。
オオゲツヒメの体から栗、小豆、麦といった五穀の種が出てきたことから五穀の起源となった神様だと伝えられているのです。

じゅんたん
いい加減にしろ!命の恩人だろ!
これだけ聞くとスサノオさん相当の悪党で終わっちゃいますよね。(笑)
しかしある老夫婦の神様とその娘との出会いがスサノオの人生を大きく変えていきます。

老夫婦の話では年に一度、8つの頭と8つの尾を持った巨大な怪物がやってきて娘を食べてしまうというのです。
老夫婦の娘は8人いましたが、今では末娘だけとなってしまいました。
8つの頭と8つの尾
そうです。
これが八俣遠呂智(ヤマタノオロチ)なんです。
皆さんも一度は耳にしたことがあるはず。

老夫婦の末娘に一目惚れしたスサノオは娘との結婚を条件にヤマタノオロチ討伐を請け負います。
いよいよヤマタノオロチがやって来る日です。
スサノオは7回絞った強い酒「八塩折の酒」で満たした8つの酒桶を置き待ち伏せます。
やがてヤマタノオロチがやって来て8つの頭を酒桶に突っ込んで酒を飲み出しました。

酒の効果はすぐにあらわれました。
ヤマタノオロチは酔っ払い寝てしまいます。
スサノオはすかさず十拳剣(とつかのつるぎ)で切り刻みます!
この時、尾から出てきた大刀が天叢雲剣(あめのむらくものつるぎ)だとされています。
かくしてヤマタノオロチを退治したスサノオは末娘と結婚するのでした。
この娘こそがスサノオを長く支えたクシナダヒメなのです。
それからのスサノオは性格が別人のように変わり、困っている人のためにその力をいかんなく発揮し始めました。
日本で初めての和歌を詠んだのもスサノオであると伝えられています。

じゅんたん
ごめん、あんたは正真正銘の主人公だ!
◆【エピソード④】最後は立派な父親に!子孫への試練
クシナダヒメに支えられながら多くの子を生み出したスサノオは立派な父親へと成長していきます。

じゅんたん
子供達に託してご隠居されたんだね
いいえ。実はまだまだスサノオは活躍します。
娘のスセリビメの夫である「大国主命(オオクニヌシノミコト)」が兄の横暴にたまりかね逃げてきた時に、試練を与える神様として登場するんです。
スサノオはオオクニヌシに次々と試練を与えていきます。

じゅんたん
うわ!完全に娘婿を試す親父じゃん!
しかしスセリビメが力強くサポートし二人は試練を乗り越えていくのです。
スサノオもオオクニヌシを励ましエールを送るほどに。
最後は子供たちを見守る優しい父親となったんですね。
◆まとめ
イタズラをしたり他人のために戦ったり試練を与えたりした須佐之男は、ある意味一番人間味のある神様なんじゃないかと思います。
神様も苦労はするし喜んだりもする。それは人間と同じです。
私たち人間の遠い先祖であり身近な存在であるとあらためて感じました。
須佐之男が生んだ子供たちもまた活躍するのですが、それはまた今度ご紹介したいと思います。